「一条工務店の勾配天井にはルールがある?」
「天井の高さや高窓の位置が知りたい」
一条工務店では、勾配天井を25~40万円ぐらいのオプション費用で採用できます。
勾配天井は、断熱性や気密性が高い一条工務店にぴったりですが、一条ルールを理解してよく検討しないとイメージどおりにはなりません。
2025年にグランスマートの平屋で打ち合わせ中の我が家が、勾配天井のルールや天井高、高窓の位置などを詳しく解説します。
「解放感を出したい」「おしゃれに採光を確保したい」と考える方は、参考にしてみてくださいね。
一条工務店の勾配天井の3つのルール
一条工務店の勾配天井には3つのルールがあります。
これらをすべて満たしたうえで、設計士が強度を確認してOKなら採用できます。
それぞれのルールを詳しく見ていきましょう。

最難関は➂の耐力壁です!
①広さのルール(1辺が5マス以内かつ2/3の幅まで)
一条工務店の勾配天井の広さは、1辺が5マス以内と2/3の幅までの両方を満たすことが必要です。
1辺が5マス以内


一条工務店の勾配天井は、1辺が5マスまで施工できます。
例えばリビング・ダイニングが4×7マスだった場合、すべてを勾配天井にはできず、最大4×5マスの範囲になります。
間取りの制約を抜きにすると、5マス×5マスの最大12.5畳まで勾配天井にできる計算です。
実際、リビングの広さや一条ルールもあるので、6~10畳ぐらいを勾配天井にする方が多いでしょうか。
どの部分を勾配にするか、家具を配置して不自然にならないか、間取りの作成段階で検討が必要です。
2/3の幅まで
一条工務店には、建物の幅のうち2/3までしか勾配天井にできない一条ルールもあります。
この2/3は部屋に対してではなく、建物全体の2/3です。
LDKの横に部屋が繋がっている、四角いおうちの方は2/3は気にしなくてもOKなケースがほとんどです。
例えば、以下の間取りではリビングの横幅いっぱいまで勾配天井にできます。(設計士による耐震チェックは必要)


一方で、以下に当てはまる方は注意が必要です。
- 南北または東西に長い家
- L型の家
- コの字型の家
例えば、東西に長い間取りでLDKが5×9マスになる例を見てみましょう。


5マスの場合、勾配天井が付けられるのは2/3以下の3.5マスまでです。
高窓を南につけるために、南から3.5マスにすると、掃き出し窓の間から勾配天井になり不自然です。
建物の幅ごとに、勾配天井が何マスまで付けられるか見てみましょう。
建物の幅 | 勾配天井の幅 |
---|---|
4マス | 2.5マスまで |
5マス | 3.5マスまで |
6マス | 4マスまで |
7マス | 4.5マスまで |
8マス~ | 5マスまで |
建物の幅が8マス以上ある場合は、最大の5マスを付けられますが、それ以下の場合は広さが制限されます。



I・L・コの字に当てはまる間取りの方は、注意してくださいね。
②位置のルール(1~9マス)


一条工務店の勾配天井の位置は、屋根の勾配の端から1~9マス目が可能です。
後ほど一条工務店の勾配天井の高さの部分で詳しく解説しますが、9マス目が最大の高さになります。
建物の端は、一部が飛び出している部分も含みます。
屋根の勾配が上がっていく1~9マスのうち、5マスまでを勾配天井にできると覚えておきましょう。
ただし、画像のようにキッチンのレンジフードなどがある場所は勾配天井にできません。



勾配天井の高さを最大にしたい方は、7~9マスにリビング・ダイニングを計画しましょう
➂耐力壁のルール(3辺の主要な壁に接する)
一条工務店の勾配天井のルールの中で、一番ややこしいのが耐力壁です。
「勾配天井の3辺は主要な壁に接する必要がある」という、一条ルールが存在します。
主要な壁とは耐震上に必要な壁で、薄壁などは含みません。
具体的に、一条工務店の勾配天井のルールでONとNGを見てみましょう。
3辺が接していてOK


上記のケースは、3辺が主要な壁に接しているので一条工務店の勾配天井ルールに当てはまっています。
I型(縦長)のリビングで、横に部屋が隣接している場合、勾配天井が検討しやすいです。
2辺しか接しておらずNG


勾配天井の範囲を狭めると、2辺しか主要な壁に接していないので、一条ルールに反します。
費用の関係で限られた範囲に勾配天井を検討する場合、この3辺ルールに合わないことがでてきます。
緩和で3辺の扱いになりOK


一条工務店の「主要な壁に接する」には緩和条件があり、1マス離れていても接するとみなされます。
- 勾配天井をリビングとダイニングの真上にしたい
- なるべく高い位置を勾配天井にしたい
このような希望があれば、壁から1マス離して計画してみましょう。
耐力壁をつけてOK


一条工務店の勾配天井の壁ルールを満たせない場合、耐力壁をつけることも検討できます。
耐力壁のルールは以下の2つです。
- 耐力壁は1辺の1/4以上
- 0.5マスは耐力壁にならない
勾配天井を4マスで計画する場合、1/4の1マスにあたる耐力壁の設置が必要です。
4マスの勾配天井の場合1マス、5マスの勾配天井の場合は1.5マスの耐力壁となります。
耐力壁はつながっておらず部屋の左右に分かれてもよいですが、0.5マスは構造上の耐力壁にならない点に注意が必要です。
キッチンのグラビオエッジは1マス分の耐力壁とみなせます。
1マスは91cmなので、この耐力壁を許容できるか、間取りを再検討するか、家具の配置なども合わせてシミュレーションしましょう。
ちなみに、高窓を計画している方は、勾配天井の3つのルールに加えて、窓の制限も合わせて考えなくてはいけません。



勾配天井と高窓を合わせて考えることが必要になります
一条工務店の勾配天井の高窓のルールへスクロール
一条工務店の勾配天井の高さ(1.5寸勾配と3.5寸勾配)


一条工務店の勾配天井の高さは、屋根の勾配によって変わります。
1.5寸と3.5寸から選べて、どちらも費用は変わりません。
一条工務店の天井高の基本は2.4mですが、この高さに勾配天井の高さが加わり解放感が出ます。
勾配天井の部分の天井を高くするには、3.5寸勾配の採用をおすすめです。
勾配の考え方は、数字が大きいほど傾斜が付くので天井も高くなります。
一条の1マス(910mm)に当てはめると、1マスあたり318mm(3.5寸)または136mm(1.5寸)高くなります。
勾配別の天井高は、以下のとおりです。
マス | 3.5寸勾配 | 1.5寸勾配 |
---|---|---|
1マス | 2,718 | 2,536 |
2マス | 3,037 | 2,673 |
3マス | 3,355 | 2,809 |
4マス | 3,674 | 2,946 |
5マス | 3,992 | 3,082 |
6マス | 4,311 | 3,219 |
7マス | 4,629 | 3,355 |
8マス | 4,948 | 3,492 |
9マス | 5,266 | 3,628 |
3.5寸勾配の4マス目と、1.5寸勾配の9マス目がほぼ同じ高さになることが分かります。
建築上の制限があったり、高すぎる天井は落ち着かないと考えたりするなら、1.5寸勾配を検討しましょう。
「採光のために高い位置に窓を付けたい」「少しでも天井を高くして解放感を演出したい」と考えるなら、迷わず3.5寸勾配を選んでください。
ロフトや小屋裏収納を計画している方も、3.5寸勾配の方が天井部分を上げられます。


1マス目のカウントは、一部が飛び出している部分も含みます。
勾配天井の高さを最大にしたいけれど、思うように7~9マス目に持ってこれない方は、間取りの一部を出すことも考えましょう。
構造上OKが出れば、勾配天井の高さを1マス分ずらすことができます。
一条工務店の勾配天井の費用
一条工務店の勾配天井の費用の目安は、以下のとおりです。
範囲 | 目安金額 |
---|---|
2坪以下 (約3.6畳/約7マス) | 226,600円~ |
3坪以下 (約5.4畳/約11マス) | 306,900円~ |
4坪以下 (約7.2畳/約14.5マス) | 343,200円~ |
例えば、4坪以下の場合は343,200円~のオプション費用が必要です。
1坪がおよそ1.812畳なので、4坪は7.2畳ぐらいの計算です。
一条工務店で8畳の勾配天井を計画する場合には、40万円弱は見込んでおいた方が良いでしょう。
ちなみに、勾配天井以外で解放感を出す方法に「天井高を上げる」もあります。
天井高を20cm高くして2400→2600にするには、1坪あたり2万円です。
30坪の平屋なら60万円で採用できるオプションなので、勾配天井のルールに苦しんでいる方は検討してみましょう。
ちなみに、水回りなど天井高を上げられない部分もあります。
一条工務店の勾配天井の高窓のルール


一条工務店の勾配天井の高窓のルールは、いたってシンプルです。
- 7マス目までにしか付けられない
勾配天井の1マス目は高さの関係で窓の配置は難しいため、実質3.5寸勾配の場合、3~7マス目までに窓を検討できるでしょう。



ルール自体は簡単なのですが、この7マス設定が非常に厄介です。
一条工務店の勾配天井は9マスまでOKなのに高窓は7マスまでのため、以下のモヤモヤが生まれます。
- 8マス・9マスの部分に窓を計画したくても無理
- 少しでも8マスにかかるとNGで、窓の大きさや数が制限される
- 勾配天井の1辺は5マス以下のため窓のバランスが取りにくい
例えば、天井高を最大にするために6~9マスを勾配天井にしたとします。
勾配天井のちょうど真ん中は7.5マス目なので、7~8マス目に横長FIX窓を付けようと思っても、8マス目にかかってNGです。
他の窓の位置や家具の配置も合わせて検討もしておかないと、バランスがおかしいと違和感が生じることも。
もちろん、窓の位置だけでなく勾配天井の3つのルールも守らないといけないので、頭を悩ませる一条工務店の施主は続出です。
一条ルールと構造計算をかいくぐって、素敵な勾配天井と高窓が付けられたら感無量ですね。
一条工務店の勾配天井と高窓で解放感を最大にする方法
一条工務店の勾配天井と高窓で、解放感を最大にする2つの方法をお伝えします。
- 5~9マスを勾配天井にして6~7マスに高窓(側面の部分)
- 3~7マスを勾配天井にして7マスに高窓を並べる(背面の部分)
順番に見ていきましょう。
5~9マスを勾配天井にして6~7マスに高窓(側面の部分)


勾配天井の高窓を屋根が上がっていく側面(三角の部分)つけたい場合、5~9マスを勾配天井にしましょう。
3.5寸勾配の9マスの天井高は5m26cmになり、平屋でも吹き抜けに近しい高さです。
高窓は7マスまでのルールがあるので、6~7マスに「横長のFIX」または「正方形のFIXを複数」並べると明るさも確保できて部屋が広く見えます。
5~7マスに窓を増やしてもよいですが、耐震上NGになる可能性が高いのと、窓の位置は一番低い5マスに揃うので、要検討です。
3~7マスを勾配天井にして7マスに高窓を並べる(背面の部分)


一条工務店の勾配天井の高窓は、屋根が上がっていく側面(三角の部分)に付ける方が多かったです。
もう1つの方法として、天井が上がりきった後ろ側の壁(長方形の部分)にも設置できます。
9マス目までを勾配天井にすると高窓7マスルールに反するので、3~7マスを勾配にしましょう。
そして7マス目に長方形の部分に窓を複数付けると、天井高と明るさで解放感が出せます。
我が家もこの案を採用したかったのですが、「太陽光パネルの発電量を考えると9マス目まで屋根(勾配)を伸ばした方が良い」との判断になり見送りました。
一条工務店の勾配天井のデメリット
一条工務店で勾配天井を計画するときに、デメリットも確認しておきましょう。
それぞれを解説します。
照明計画に悩む
勾配天井を採用した場合、普通のダウンライトでは対応が難しいです。
一条工務店では勾配天井用のダウンライトも用意されていますが、値段が高めなのと、天井が高くて自分での交換がしづらい難点があります。
他にも、以下の2つが検討できます。
- スポットライト
- 長尺ブラケットライト
これらは勾配天井ではない部分につけて、自身でもメンテナンスがしやすいように工夫できます。
ただ、「どれぐらい明るいのか」など不安が生まれやすいのがデメリットです。
掃除が大変
勾配天井は天井が高い分、掃除が大変です。
高窓やシーリングファンを付けた場合、家庭用の脚立を使っても汚れを取るのは難しいでしょう。
一条工務店は換気システムが優れているので、窓は汚れにくいと言われていますが、外から鳥の糞やほこりが付くことも想定されます。
明るさや解放感は下がりますが、窓ガラスを透明ではなく「かすみ」にすると汚れが目立ちにくくなります。
冷暖房効率が下がる
勾配天井を採用すると、冷暖房効率が下がります。
温めるor冷やす空気が多くなる分、相応の冷暖房器具の稼働が必要です。
ただ、一条工務店の家は断熱性と気密性が高いので、一般的な勾配天井の家より冷暖房費は抑えられます。
平屋の勾配天井なら一条!と言っても過言ではないので、解放感を重視する場合は多少の冷暖房費には目をつぶりましょう。
一条工務店の勾配天井のメリット
一条工務店の勾配天井のメリットは、以下の3つです。
それぞれを見ていきましょう。
圧倒的な解放感
勾配天井を採用すると、天井が高くなるので解放感が生まれます。
特に、LDKの狭さや圧迫感が気になるなら、勾配天井は満足度の高いオプションです。
空間が開放的になるため、畳数以上に広く見えることは間違いありません。
高窓で採光を確保できる
勾配天井を採用すると、高窓を付けて採光が確保できます。
特に隣地が迫っている場合や、平屋の真ん中の部屋は暗くなりがちです。
高窓を上手く計画できれば、光が部屋の中心にも届きやすくなります。
おしゃれな雰囲気になる
勾配天井はおしゃれな雰囲気と感じる人が多く、来客時には「わぁ!」と小さな感動が生まれます。
勾配を生かした家具のレイアウトや、クロスのカラーの選択で注文住宅らしさを出せるでしょう。
勾配の天井部分のクロスは、解放感重視ならホワイト、おしゃれさ重視なら木目がおすすめです。



勾配天井は採用してよかったオプションの上位に挙げる方が多数です
一条工務店の勾配天井についてまとめ
一条工務店の勾配天井について解説しました。
最後に、一条の勾配天井と高窓のルールを再確認しておきましょう。
- 広さのルール(1辺が5マス以内かつ2/3の幅まで)
- 位置のルール(1~9マス)
- 耐力壁のルール(3辺の主要な壁に接する)
- 高窓のルール
我が家は打ち合わせ中で、まさに一条ルールと闘っていますが、上手く採用できたら写真で紹介します。
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